丁寧な言葉遣い~名詞~

こんにちは、はじめまして。

清 良納言(せい りょうなごん)と申します。

カナダで日本語教師を始めてもうすぐ1年になります。

今回ブログを開設して、こちらでの日々の生活や、日本語を教えるにあたって気づいたことや、日本語の難しさ、面白さなど綴っていけたらと思っています。

特に言葉の専門家という訳ではございませんので、結局答えも出ないとりとめもないことが多いと思いますが、暇つぶし程度に見ていただけたら幸いです。

どうぞよろしくお願いします。

 

さて、今日のお題。

「丁寧な言葉遣いとカジュアルな言葉遣い」

 

敬語。

これは日本語が難しい言語と言われる要因のひとつであると思います。

丁寧語、尊敬語、謙譲語 と、字面を見るだけでもややこしい、日本人でも上手く使いこなせない人も多いのではないでしょうか。

例えば「言う」という動詞ひとつとっても、

丁寧語「言います」

尊敬語「おっしゃる」

謙譲語「申す」

と3つの言い方がある訳ですね。

もちろん、尊敬語と謙譲語が使いこなせる外国人の方はそれはもうトップクラスにハイレベルな日本人ユーザーです。

ただ、丁寧語に関して言うと、日本語を学ぶ人はまず丁寧語を覚えることになります。

いわゆる「です・ます」言葉ですね。

その理由は色々あるのですが、それはまた別件で書きたいと思います。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回私が言及したいのは、

 

「丁寧な名詞」

 

お水、お湯、お茶、お皿、お肉、お兄さん、お姉さん、お留守番.....

ご挨拶、ご紹介、ご連絡、ご歓談、ご意見、ご感想、ご都合.....

 

そうです、「お」とか「ご」とか付ける丁寧な言葉遣いの名詞です。

割とよく使いますよね、日本人は。

例えばお水とかお茶とかなんて本当に毎日使うでしょう。

英語だったら、水は「water」だし、お皿は「dish」もしくは「plate」で、名詞に丁寧とかカジュアルとか、そんな概念がないんですけど。

例えば日本のお母さんが夕飯時に子供に

 「ちょっと皿出して~」

って言うのと

「ちょっとお皿出して~」

って言うのでは、そのお母さんの印象が大分変わってきます。

 

それで、日本語学習者の方たちは「polite words(丁寧な言葉)」というものが日本語にはあるということを知って、学んでいくことになります。

 

そこで困ったことが出てきます。

どの言葉に「お」が付いて、どの言葉に「ご」が付くかということです。

勘の良い方はもうお分かりだと思いますが、ひらがなまたは訓読みの言葉には「お」が付いて、音読みの言葉、主に熟語には「ご」が付く訳です。

大体そうです。

 

でも、「お返事」は?「お茶碗」は?

あと、「お遍路」は?

これらって音読みっぽいけど、「お」が付きますよね。

 

ちょっと調べてみると、こんな記事が出てきました。

 

「お返事」? 「ご返事」? | ことば(放送用語) - 最近気になる放送用語 | NHK放送文化研究所

「お」と「ご」のどちらが付くかは、だいたい次のような傾向があります。
○やまとことば(和語)…「お」が付く。お金、お米、お餅など。
○漢字の音読みのことば(漢語)…「ご」が付くものが多い。ご親切、ご出演など。
○外来語…ふつう「お」も「ご」も付かない。

ただし漢語の場合には例外が多く、「お食事・お料理・お洗濯」など、「お」が付くものもかなりあります。漢語には少し堅苦しいことばが多いのですが、例外的に「お~」となっているものの多くは、漢語であっても私たちの生活に密着したものがほとんどです。

「返事」もその例外の一つです。これは、「かえりごと」というやまとことばに「返事」という漢字をあてて、そのあとに「へんじ」という音読みの漢語が出てきたものです。つまり、もともと「あまり漢語らしくない」ことばなのです(なお「大根(だいこん)」も「おおね」から生まれたことばです)。そのため、やまとことばとしてとらえた場合の「お返事」と、漢語として扱われたときの「ご返事」が、両方とも使われているのです。

ウェブ上でおこなったアンケートでは、「お返事と言う(ご返事とは言わない)」という回答(全体で63%)が、若い人になるほど多くなっていることがわかりました。また、特に女性はこの答えを選ぶ傾向が強く見られました(男性56%、女性68%)。

漢語のなかでなじんできたことばは、「ご~」から「お~」へと変化してゆくと言えそうです。最近では「お迷惑」「お連絡」というものも目にしますが、これはまだちょっと受け入れられにくいような気がします。

どうでしょう、理解いただけたでしょうか。

 

 すごい。

さすがNHK

わかりやすい。ええ、ええ、理解しました。ありがとうございます。

確かにお茶碗もお遍路も昔から日本にあるもので、やまとことばっぽいですもんね。

そして「返事」が「かえりごと」から来ているとは。

日本語って面白いなぁ。

 

それで結局のところ、日本語学習者の方たちにはひとつひとつ覚えて慣れてもらうというのがなんとも申し訳なく感じるところなのですが…

 

でもこんなにややこしい、難しい、それでいて趣のある言語が他にあるのでしょうか。

私、ほんとに日本語のネイティブで良かったなぁと、最近よく思うんです。